地熱発電:国立・国定公園内での設置基準緩和…環境省
http://mainichi.jp/select/science/news/20120322k0000m040103000c.html
斜め掘り井戸による地熱発電
国立・国定公園は自然景観や生物多様性の度合いで、特別保護地区、第1~3種特別地域などに分けて管理されている。このうち垂直掘削が容認されるのは規制が比較的緩い第2、3種特別地域。
条件として、関係者間の合意形成▽環境影響を最小限にとどめる技術の導入▽周辺の荒廃地の緑化や温泉事業者への熱水供給など地域貢献▽長期モニタリングと情報の開示--を挙げた。
日本には世界有数の潜在的地熱発電能力があるが、開発候補地の約8割は公園内にあって開発が遅れてきた。そこで、環境省は2月、特別地域外からの傾斜掘削による地熱資源利用に限り認める方針を示したが、環境影響の大きい垂直掘削は今後の検討課題としていた。
規制緩和の理由について、環境省は「エネルギー供給状況の変化から、地熱資源利用に道を開くことを決断せざるを得なかった」と説明した。
経済産業省は候補地として、阿寒国立公園阿寒地域(北海道)、大雪山国立公園白水沢地域(同)、十和田八幡平国立公園菰(こも)ノ森地域(秋田 県)、栗駒国定公園木地山・下の岱(たい)地域(同)、同公園小安地域(同)、磐梯朝日国立公園磐梯地域(福島県)の6地域を挙げている。【藤野基文】
毎日新聞
火山の国に暮らす
http://mainichi.jp/select/wadai/wakaru/graph/20090306/
毎日新聞 2011年8月25日 東京朝刊
再生エネルギー・現場からの報告:/3 地熱発電、資源世界3位 国内シェア0.3%
http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2011/08/20110825ddm008020204000c.html
◇規制緩和、開発に脚光
「エコロジーホテルへようこそ」10カ所以上の温泉がある大分県九重(ここのえ)町。阿蘇くじゅう国立公園内の黒岩山山麓(さんろく)にある九重(くじゅう)観光ホテルの小池由 明社長は敷地内に設けた「九重(くじゅう)地熱発電所」の所長でもある。出力は990キロワット。ホテルの電力をすべて賄った上、余剰電力は民間の電力供 給会社に売電する。
小池さんが地熱発電事業に興味を持ったのは1990年代初め。掘削した温泉井戸の蒸気量が豊富だったためだ。発電所の2本の井戸の深さは350メートルと405メートルで、発電機や冷却塔などを含めて2億円を設備投資し、98年から運転を始めた。
電気代が浮き、ホテルのPRにもなる“一石二鳥”を当て込んだが、売電価格の安さは「見込み違い」だった。採算ベースは1キロワット時当たり16 円だが、余剰電力買い取り価格はわずか数円。エコホテルとしてのPR効果がなければ、割に合わないのが現状だ。小池さんは来年7月の「再生可能エネルギー 固定価格買い取り法」施行で買い取り価格がどうなるかと注目する。
◇
黒岩山を西に車で約15分。ひときわ湯気を立ち上らせる場所が九州電力の八丁原(はっちょうばる)地熱発電所だ。2基の発電設備の投資額は370 億円で出力は計11万キロワットと国内最大。マグマで熱せられた地熱貯留層まで約2000~2500メートル掘削した井戸から回収した高温の熱水・蒸気で タービンを回す。
国内唯一の地熱バイナリー発電施設も併設。地熱発電は通常、150度以上の蒸気・熱水が必要だが、沸点が36度で水よりも蒸発しやすい有機溶媒の ペンタンを利用するバイナリー施設は、低い温度の熱水・蒸気しか出ない場所でも発電が可能だ。06年に営業運転を始めた同バイナリー施設は出力2000キ ロワットと、発電規模は小さいが、九電関係者は「(地域の集落の電力を賄う)地産地消の電源にも活用できる」と期待する。
◇
火山の多い日本の地熱資源による発電容量(推定)は約2347万キロワットと、米国、インドネシアに次ぐ世界3位。また、地熱発電機では富士電 機、三菱重工業、東芝の3社が世界シェアの約7割を占める。太陽光や風力と違い、天候に左右されない地熱発電所は稼働率も70%程度と高い。
これだけの強みを持つ日本だが、地熱発電の現状は全国17の発電所をすべて合わせても年間53・5万キロワットと、国内総発電容量の0・3%にと どまる。地熱資源の豊富な地域の8割が国立・国定公園に指定され、開発できなかったことに加え、温泉地と隣接するケースも多く、「『温泉源が枯渇する』と 地元の反発が強い」(電力業界幹部)ことが主因だ。
そんな現状に政府は昨年6月、国立・国定公園周辺の開発規制を緩和。公園の外から斜めに地中を掘るなど景観に配慮すれば、公園直下の地熱資源の開 発も認めることにした。三菱マテリアルと東北電力は7月から斜め掘り技術を使い、秋田県鹿角市の澄川地熱発電所に隣接する十和田八幡平国立公園の下にある 地熱資源開発計画に着手。経済産業省によると、再生エネルギー関連企業の間には「オールジャパンの会社を作ろうとの機運もある」(幹部)といい、地熱が再 び脚光を浴び始めている。【中園敦二】=つづく
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■ことば
◇地熱発電
主に火山活動から生じる地熱エネルギーを利用して発電を行うことを指す。地中の深くの地熱によって生成された水蒸気や熱水を掘削して取り出し、そ れでタービンを回して発電機を動かす。地熱資源の探査や開発に長期間かかる例もあり、太陽光や風力に比べて事業化コストが高い。一方で、安定的に発電でき、日本では「再生可能エネルギーのダークホース」(アナリスト)とされてきた。海外ではアイスランドが国の発電量全体の2~3割を地熱で賄うほか、インドネシアは国家主導で地熱発電の拡大計画を進める。
毎日新聞 2012年3月14日 地方版
てんこもり九州・山口:「火山国」九州の再生可能エネルギー 地熱発電に期待 /九州
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20120314ddlk40040365000c.html
風力、太陽光、バイオマス……。昨年3月の東京電力福島第1原発事故を機に、再生可能な自然エネルギーへの関心が高まっている。地球の熱をエネル
ギー源として利用する「地熱発電」もその一つだ。安定電源として期待が高く、政府は利用促進に向けた規制緩和策の検討を進めている。火山の多い九州は、い
わば「地熱王国」。だが、普及には壁もある。地熱が電気を生み出す現場を訪ね歩き、その将来性を探った。【阿部周一、黒澤敬太郎】
「去年から見学に来る方が多いんですよ」。秋好真人所長が出迎えてくれた。併設する展示館の来場者は10年に約3万3000人だったが、大震災があった昨年は4万人台に達したという。原発事故を機に高まる自然エネルギーへの関心が、ここにも表れている。
八丁原発電所は2基の発電機を持つ。1号機(5万5000キロワット)は全国で5番目に古い77年に運転を開始。90年に同じ出力の2号機が完成した。
発電所には稼働中の井戸が十数本ある。深さはいずれも約2000~2500メートル。その先は、マグマだまりで熱せられた300度近い高温の地下 水の層「地熱貯留層」に達している。井戸を伝って噴き出す蒸気が発電用タービンを回している。発電の仕組みは基本的に火力と同じだが、違うのは、火力のボ イラーに相当するのが、地熱の場合は「地球」というわけだ。
蒸気と一緒に噴き出す熱水からも、熱水の圧力を下げることでさらに蒸気を取り出し、発電に利用。余った熱水は再び井戸で地下へ戻している。
発電機が置かれた建屋は、天井が高い体育館のような建物。屋内をタービンの駆動音が包む。人の気配はほとんどない。運転管理は約2キロ離れた九電大岳地熱発電所から遠隔操作で行っている。
八丁原は全国の地熱発電所の中でも「優等生」と評価される。最大の理由はその利用率の高さ。北海道や東北には計画出力に比べて実際の発電量が 20%台にとどまる地熱発電所もあるのに対し、八丁原は年間平均約70%。どの井戸からどれだけ蒸気を取り出し、余った熱水をどの位置にいくら戻すかとい う「地下のコントロール」(秋好所長)がうまくいっていることなどが勝因だ。そのために、九電は地下水温を各所でモニタリングして、直接見ることのできな い地熱貯留層を三次元コンピューターグラフィックスで再現し、将来予測に役立てている。
八丁原の発電量を火力でまかなおうとすると年間21万キロリットルの石油が必要となる計算だ。巨大事故のリスクや二酸化炭素排出が少ない安定電源として期待は高まる。
日本有数の温泉地、霧島温泉郷(鹿児島県霧島市)の「霧島国際ホテル」は84年、地下400~250メートルから噴出する約140度の蒸気を利用 した地熱発電設備を導入した。浴用に約40度まで冷まし、その際に発生する蒸気で発電タービンを回す。出力は20~50世帯分に相当する100キロワッ ト。ホテルの電力の4分の1をまかなう。全国から見学者が訪れており、竹下卓・取締役営業部長は「設備費などのコストはかかるが、火山の恵みである地熱の 力を知ってもらい、もっと普及してほしい」と語る。
「日本一熱量の多い温泉」をうたう長崎県小浜温泉郷では、100度近い国内有数の温泉熱を利用し、今までくみ上げながらも捨てていた「未利用湯」 で発電する計画が進んでいる。新年度から2年間、温泉の熱で、沸点の低いアンモニア水などを蒸発させてタービンを回す「バイナリー発電」の実証実験が始ま る予定だ。
この発電方式だと新たな井戸を掘る必要はなく、温泉が枯れる心配がない。地元の観光業者らは昨年、「小浜温泉エネルギー活用推進協議会」を設立。温泉と地熱発電を一緒にPRし、地域づくりにもつながっている。
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■ことば
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大岳 大分県九重町 1.25万キロワット 67年 8月
八丁原1号 〃 5.5万キロワット 77年 6月
八丁原2号 〃 5.5万キロワット 90年 6月
八丁原バイナリー 〃 2000キロワット 06年 4月
滝上 〃 2.75万キロワット 96年11月
山川 鹿児島県指宿市 3万キロワット 95年 3月
大霧 鹿児島県霧島市
同県湧水町 3万キロワット 96年 3月
【温泉ホテル】
別府杉乃井 大分県別府市 1900キロワット 81年 3月
霧島国際 鹿児島県霧島市 100キロワット 84年 2月
◇八丁原発電所、発電量年間平均約70%
大分道九重インターチェンジを降り、標高1700メートル級のくじゅう連山へ続く山道を車で約40分。前日の雪が残る阿蘇くじゅう国立公園で、ひ ときわ白く濃い蒸気が丘の向こうから顔をのぞかせた。九州電力八丁原発電所(大分県九重町)。総出力計11万キロワットを誇る、我が国最大の地熱発電所 だ。「去年から見学に来る方が多いんですよ」。秋好真人所長が出迎えてくれた。併設する展示館の来場者は10年に約3万3000人だったが、大震災があった昨年は4万人台に達したという。原発事故を機に高まる自然エネルギーへの関心が、ここにも表れている。
八丁原発電所は2基の発電機を持つ。1号機(5万5000キロワット)は全国で5番目に古い77年に運転を開始。90年に同じ出力の2号機が完成した。
発電所には稼働中の井戸が十数本ある。深さはいずれも約2000~2500メートル。その先は、マグマだまりで熱せられた300度近い高温の地下 水の層「地熱貯留層」に達している。井戸を伝って噴き出す蒸気が発電用タービンを回している。発電の仕組みは基本的に火力と同じだが、違うのは、火力のボ イラーに相当するのが、地熱の場合は「地球」というわけだ。
蒸気と一緒に噴き出す熱水からも、熱水の圧力を下げることでさらに蒸気を取り出し、発電に利用。余った熱水は再び井戸で地下へ戻している。
発電機が置かれた建屋は、天井が高い体育館のような建物。屋内をタービンの駆動音が包む。人の気配はほとんどない。運転管理は約2キロ離れた九電大岳地熱発電所から遠隔操作で行っている。
八丁原は全国の地熱発電所の中でも「優等生」と評価される。最大の理由はその利用率の高さ。北海道や東北には計画出力に比べて実際の発電量が 20%台にとどまる地熱発電所もあるのに対し、八丁原は年間平均約70%。どの井戸からどれだけ蒸気を取り出し、余った熱水をどの位置にいくら戻すかとい う「地下のコントロール」(秋好所長)がうまくいっていることなどが勝因だ。そのために、九電は地下水温を各所でモニタリングして、直接見ることのできな い地熱貯留層を三次元コンピューターグラフィックスで再現し、将来予測に役立てている。
八丁原の発電量を火力でまかなおうとすると年間21万キロリットルの石油が必要となる計算だ。巨大事故のリスクや二酸化炭素排出が少ない安定電源として期待は高まる。
◇中・小規模地熱が脚光、温泉地・霧島や小浜の取り組み
八丁原発電所に代表される大規模地熱は数万キロワットの出力が得られる一方、技術的にもコスト的にも開発に困難が伴う。そこで今、脚光を浴びているのが、数千~数百キロワット単位の中・小規模地熱だ。日本有数の温泉地、霧島温泉郷(鹿児島県霧島市)の「霧島国際ホテル」は84年、地下400~250メートルから噴出する約140度の蒸気を利用 した地熱発電設備を導入した。浴用に約40度まで冷まし、その際に発生する蒸気で発電タービンを回す。出力は20~50世帯分に相当する100キロワッ ト。ホテルの電力の4分の1をまかなう。全国から見学者が訪れており、竹下卓・取締役営業部長は「設備費などのコストはかかるが、火山の恵みである地熱の 力を知ってもらい、もっと普及してほしい」と語る。
「日本一熱量の多い温泉」をうたう長崎県小浜温泉郷では、100度近い国内有数の温泉熱を利用し、今までくみ上げながらも捨てていた「未利用湯」 で発電する計画が進んでいる。新年度から2年間、温泉の熱で、沸点の低いアンモニア水などを蒸発させてタービンを回す「バイナリー発電」の実証実験が始ま る予定だ。
この発電方式だと新たな井戸を掘る必要はなく、温泉が枯れる心配がない。地元の観光業者らは昨年、「小浜温泉エネルギー活用推進協議会」を設立。温泉と地熱発電を一緒にPRし、地域づくりにもつながっている。
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■ことば
◇バイナリー発電
150度に満たない比較的低温の蒸気・熱水でペンタン(沸点36度)やアンモニア(マイナス33度)など沸点の低い液体を加熱し、その蒸気でター ビンを回す発電方式。通常の地熱発電は地下の蒸気で直接タービンを回すが、この方式は地下の蒸気で媒体を熱して別に蒸気を取り出すため「バイナリー」 (「二つの」という意味)の名が付いている。九電八丁原発電所では04年2月に実証試験を始め、06年から営業運転(出力2000キロワット)している。◇再生可能エネルギー固定価格買い取り法
太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を促進するため、再生エネルギーによる発電分をすべて電力会社が決まった価格で買い取るよう義務づける 法律。菅直人前首相の「退陣3条件」の一つであることから注目され、昨年8月に成立した。7月の施行に向けて、現在各電源の価格が協議されているが、買い 取り価格が高く設定されれば、再生エネルギー普及に役立つ半面、電気料金の引き上げにつながる可能性もある。◇発電電力量の構成比率
経済産業省の「エネルギー白書」によると、国内の10年度の発電電力量(一般電気事業用)に占める各電源の割合は、火力(LNG、石炭、石 油)58.3%▽原子力30.8%▽水力8.7%▽新エネルギー1.2%--となっている。停滞が目立つ新エネルギーのうち、地熱はわずか0.3%に過ぎ ない。ただし、全国の大半の原発が運転停止した11年度は比率が大きく変わるとみられる。==============
◇九州の主な地熱発電所
【九州電力】 場所 出力 運転開始大岳 大分県九重町 1.25万キロワット 67年 8月
八丁原1号 〃 5.5万キロワット 77年 6月
八丁原2号 〃 5.5万キロワット 90年 6月
八丁原バイナリー 〃 2000キロワット 06年 4月
滝上 〃 2.75万キロワット 96年11月
山川 鹿児島県指宿市 3万キロワット 95年 3月
大霧 鹿児島県霧島市
同県湧水町 3万キロワット 96年 3月
【温泉ホテル】
別府杉乃井 大分県別府市 1900キロワット 81年 3月
霧島国際 鹿児島県霧島市 100キロワット 84年 2月
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